※これからウィキッド観る方はネタバレ含みます
『ウィキッド(Wicked)』は、L・フランク・ボームの『オズの魔法使い』を基にしたグレゴリー・マグワイアの小説『Wicked: The Life and Times of the Wicked Witch of the West』を原作とするミュージカルです。ミュージカル版は2003年にブロードウェイで初演され、世界中で大ヒットしました。
物語は、『オズの魔法使い』で「悪い魔女」とされるエルファバの視点から描かれ、彼女がなぜ“西の悪い魔女”と呼ばれるようになったのかを明かしていきます。
あらすじ(ミュージカル版)
プロローグ:祝宴の始まり
物語は、「西の悪い魔女」が死んだという知らせから始まります。国中が祝う中、「北の良い魔女」グリンダが現れ、民衆に「彼女は本当に悪かったのか?」と問いかけます。そして物語はエルファバの過去へと遡ります。
第一幕:エルファバとグリンダの出会い
物語の中心となるのは、エルファバとグリンダの友情と別れです。
- エルファバの誕生と魔法の力
- エルファバは緑色の肌を持って生まれます。これは、母親が不倫相手からもらった怪しげな緑の薬を飲んでいたためです。
- 父親(と思われる男)は彼女を忌み嫌い、妹ネッサローズ(後の「東の悪い魔女」)ばかりを可愛がります。
- 大学生活とグリンダとの出会い
- エルファバとネッサローズは、シュズ大学に入学します。
- グリンダ(当時はギャリンダ)とエルファバは、最悪のルームメイト同士として出会い、最初は対立します。
- しかし、次第に友情を深めていき、エルファバの魔法の才能も認められるようになります。
- オズ国の闇とエルファバの決断
- エルファバは、オズの魔法使いに会うためにエメラルド・シティへ向かいます。
- しかし、魔法使いが動物たちを迫害し、言葉を話せなくする政策を進めていることを知り、絶望します。
- 魔法使いが「自分もただの人間であり、恐れられることで権力を保っている」と明かすと、エルファバは彼を拒絶し、逃亡者となります。
- 「Defying Gravity(自由を求めて)」を歌いながら、エルファバはオズ国を支配する権力に反抗することを決意します。
第二幕:エルファバの転落と真実
- 「西の悪い魔女」への転落
- エルファバは反逆者として追われ、「西の悪い魔女」として悪名を広められます。
- 一方、グリンダは魔法使い側につき、「北の良い魔女」として名声を得ます。
- フィエロとの恋と別れ
- フィエロという青年がエルファバをかばい、2人は恋に落ちます。
- しかし、フィエロは捕まり、拷問を受けます。(後に「かかし」として生き延びることになります)
- ネッサローズの死と怒り
- ネッサローズは、自身の横暴な政治のせいで住民に殺されてしまいます。
- エルファバは怒り、さらに孤立していきます。
- エルファバの「死」と救済
- 最後の対決で、グリンダはエルファバを守ろうとしますが、オズの国民はエルファバを殺そうとします。
- しかし、実はエルファバは「死んだふり」をしており、フィエロ(かかし)と共に逃げるのです。
- グリンダの決意
- グリンダは魔法使いを追放し、新しいオズの指導者として国を変えようとします。
- 物語は、グリンダが「さよなら、友よ」と呟くシーンで終わります。
テーマと魅力
『ウィキッド』は、**「善と悪は本当に明確なのか?」**というテーマを深く掘り下げた作品です。
- エルファバは本当に“悪い魔女”だったのか?
- 歴史は勝者によって作られる(エルファバの行動は権力者によって悪とされただけでは?)
- 友情と決別、そして運命の皮肉(エルファバとグリンダの関係の変化)
また、名曲 「Defying Gravity」 はミュージカル史に残る名シーンとして語り継がれています。
まとめ
『ウィキッド』は単なる『オズの魔法使い』のスピンオフではなく、権力・差別・運命・友情といった普遍的なテーマを描いた深みのある作品です。特に、エルファバとグリンダの関係が丁寧に描かれており、観る人によって様々な解釈ができるのが魅力です。
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