とても本質的な問いですね。「人は変わるのか、変わらないのか」というテーマは心理学・神経科学・社会学でも長く議論されているテーマです。ご質問の「合わない人に対して、人って変わらないなと思う」という感覚には、実はかなりの科学的な裏付けもあります。
🔬【科学的知見からの答え】
■ 1. 「性格は変わらない」…が、全くではない
- パーソナリティ心理学では、ビッグファイブ(外向性・協調性・誠実性・情緒安定性・開放性)という5つの特性で性格を測るのが一般的です。
- 研究によれば、性格の核(コア・パーソナリティ)は安定的で、年齢を重ねても大きくは変わらない傾向があります(特に30歳以降は安定)。
- ただし、長期的には少しずつ変わることもある。たとえば、年を取るにつれて協調性が上がる人が多い傾向も。
参考:Roberts, Walton, & Viechtbauer (2006), “Patterns of mean-level change in personality traits across the life course.”
■ 2. 脳の「予測モデル」が変化を拒む
- 脳は「今までの経験に基づいて世界を予測するシステム」です。
- 人は「この人はこういう人」と一度ラベリングしてしまうと、その人の変化を見ることが難しくなります(認知バイアス)。そのため、「この人は変わらないな」と感じやすくなります。
関連:予測符号理論(predictive coding theory)
■ 3. 人は変わるには「強い動機」と「安全な環境」が必要
- 人が本当に変わるには「痛みや挫折」「新しい目標」「環境の変化」など、行動を見直す強い理由が必要です。
- でも、「変わりたい」と思っていない人に何を言っても、ほとんど効果がないのが現実。
■ 4. 「合わない人ほど変わらない」と感じる心理的理由
- 合わない相手には感情が動きやすいため、ネガティブな行動ばかりが目に入る(選択的注意)。
- 「この人とは合わない」と思った時点で、相手に対する期待や希望が減るので、余計に変化が見えづらくなる。
💡まとめ
- 人は変わらない部分が多い。でも、まったく変わらないわけでもない。
- 変化はゆっくりで、本人の意志と環境が鍵。
- 「合わない」と感じる相手には、変化を認知しづらい心理バイアスがかかる。
もし、その「合わない人」とどう付き合うかについて悩んでいるなら、心理的距離をとることや、期待値を下げることが有効な場合もあります。必要であればその点もお話ししますね。
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